2022/7/19
- スタッフが想いを語らう座談会
スタッフが想いを語らう座談会
株式会社山田屋 様
人形とベビー用品 山田屋
明治5年の創業以来、人形、祝着、ベビー用品、ランドセル……と、大切なお子様が生まれてから小学校に上がるまでの節目節目によりそって来た山田屋。150年という歴史の中で紡いで来た伝統、そして磨き上げてきたプロの接客について、4名のスタッフによる座談会をお届けします。
店長 加藤 浩枝
- 加藤 浩枝
〈認定〉
チャイルド心理カウンセラー
〈得意分野〉
全般
大山 裕人
- 大山 裕人
〈認定〉
チャイルドシート指導員
〈得意分野〉
梱包・配送、人形リフォーム
山口 太美
- 山口 太美
〈得意分野〉
節句人形
お祝着
沢田 麻美
- 沢田 麻美
〈得意分野〉
ベビー用品
ランドセル
山田屋のスタッフは、みんながオールラウンダー。得意分野はもちろん、どの分野でもご対応します。
「誰々さんいますか?」とたずねてもらえる接客を
加藤:最近は、モノよりもコト・トキ・ヒトを売ることに取り組んでいるけど、それぞれ接客のこだわりは?
山口:人形や着物では、年齢や服装の好みからお求めのものを推測して、ご提案するようにしています。例えば、シンプルな服装の方はシックなもの、華やかな方はかわいらしいものを好まれることが多いですね。
沢田:ベビー用品では、まず月齢などの答えやすい質問をします。そして、心を開いていただけてきたかなと思ったら、もう少し踏み込んで共通の話題を探すようにしていますね。私にもふたり子どもがいるので、子育て世代のお客様には共感するところが多いです。
- 接客のこだわりについて語る
- 子育て世代のお客様に共感
大山:スタッフ一人ひとりに個性があるので「誰々さんいますか?」と来てくださるお客様がいますよね。僕は、そういう方が増えるような接客をしていきたいです。クレームをいただいたときには「いかに次につながる対応をするか」を考えています。結果的には「ありがとう」と言っていただけて、また来てくださるお客様もいらっしゃいます。
山口:大山さんはチャイルドシート指導員の認定を受けているから安全面でも喜ばれるし、男性スタッフがいて安心されるお客様もいらっしゃいますね。いろいろなスタッフがいるので、波長が合う人をみつけてくださったらいいなと思います。
人形のリフォームで、節句から季節の人形へ
沢田:代々来てくださるお客様もいますよね。わざわざ岐阜から、3世代で来てくださったり。
加藤:おばあちゃんにあたる方のご実家が豊田で「娘が生まれたときに山田屋さんでお雛様を買って、すごく幸せな人生を送れているから、孫娘のお雛様も」ってね。今お孫さんが10歳くらいだと思うけど、そのお雛様が見ている景色は、きっと幸せなご家庭だと思う。実は、キャッチコピーの「幸せになれる山田屋のお人形」は、このエピソードから来てるの。
- 幸せになれる山田屋のお人形
- 人形の修理やリフォームに注力
大山:売って終わりではないですね。僕は勤続25年目になるので、赤ちゃんだったお客様が親になってまた来てくださるのが嬉しいです。最近は、人形の修理やリフォームに力を入れているので、持ち込まれた人形に覚えがあったりもして。昔は大きなものが多かったので、鎧飾りを兜だけのケース飾りにするなどのご提案をしています。節句人形としての役目が終わったものを、季節の人形としてこの先も飾っていただけるのは嬉しいですね。
加藤:供養に持ち込まれた人形でリフォームの提案をすることもあるけど「それなら……」って受け入れてくださるお客様も多いね。コロナ禍やSDGsの影響で、家族の絆やモノを大事にすることを考えるようになったのかもしれないな。
産院選びの相談や海外への配送にも対応
沢田:コロナ禍の影響といえば、出産のスタイルもかなり変わりましたね。
加藤:里帰りも難しくなったから、豊田の産院選びの相談を受けることもあるよね。クチコミはネットで見られるけど不安があって、やっぱり直接聞けると安心ですって。あと、親子で近くに住んでいても「出産する娘をひとりで送り出さないといけなくて、私が泣いてしまった」っていう話も聞いたな……。
山口:海外出産の場合は、おじいちゃんおばあちゃんが一度もお孫さんに会えてないっていう話も聞きます。さみしいなぁと思うけど、海外への配送も「無事に着いたよ」って報告を聞けると、私たちも嬉しいですよね。大山さんの梱包はお客様のことを考えられていて、すごくていねいで上手だと思います。
- お客様のことを考えた、ていねいな梱包
大山:「前回ちゃんと着いたから、また買いに来たよ」って来てくださるのが嬉しいですね。海外でお雛様を飾ると、日本の文化に触れようと周りの人たちが見に来るそうです。コロナ禍なので配送にも制限がありますが、できる範囲で精いっぱい対応しています。
山口:姪の子はハーフで、上は17歳の男の子ですけど人形が大好きで、妹のお雛様はその子が飾るんです。私自身は三姉妹で、一人ひとりに雛人形を買ってもらってて、姉も大事にしていたし、姉から娘へ、娘から孫へと想いが伝わって……。子を想う気持ちは、世界共通だなって思うんです。
- 子を想う気持ちは世界共通
人形を飾る人にしか感じられない幸せ
- 人形を見る家族の笑顔にほっこり
大山:この十年くらいで、好まれるサイズは小さくなりましたが「子どもに幸せになってほしい、買ってあげたい」という想いは変わらないですね。修理した人形を返すときも、お子さんが喜んで持ち帰ってくれて「この人形は私の」っていう想いを感じて、この文化は消してはいけないなって思います。
沢田:私も親の立場で人形を飾るようになって、人形を見た家族みんながほっこりした笑顔になっているのを見て、私もまたほっこりしています。
加藤:うちでは人形をおじいちゃんおばあちゃんに買ってもらったことを忘れないように、飾ったときに子どもから電話させるようにしてて。「今年も出したか。勉強もがんばれよ」「がんばるよ。ありがとう」っていう明るい会話が聞こえると、親と子どもの幸せをつなげられたのが嬉しいなって思うんだよね。昔と比べて収納が少なくなってるから、飾る場所・置いておく場所がないっていうのもわかるけど、この幸せは人形を飾っている人にしか感じられないものだと思う。
大山:実際、飾るのは一時期なのでなんとかなるケースが多いです。でも収納はどうにもならないので、預かりサービスも好評です。収納場所がない、湿気が多くて心配などの場合は、安心して預けていただけています。
- 人形を飾るたびに感謝の電話
ベビー用品からランドセルまで、安心の山田屋で
加藤:最近は、オンライン接客サービスも需要が伸びてるよね。
大山:要するにテレビ電話なんですが、来店されたお客様が画面越しに親御さんへ商品を見せたり、お問い合わせにテレビ電話で対応したりしています。
山口:どんな形であれ、お客様に「山田屋で買ってよかった」と言っていただけることが、達成感につながりますね。
沢田:「山田屋さんのものは安心できるから、ランドセルまでお世話になりたい」なんて言っていただけると、本当に嬉しいです。ランドセルは販売を始めてからまだ1年ほどですが、少しずつご成約が増えています。
- お客様の「山田屋で買ってよかった」に達成感
加藤:「子育てのものなら山田屋」「山田屋に置いてあるものなら安心」と言ってくださるお客様が多くて、信用の積み重ねが信頼になってる。接客しながら生の声が聞けるから、お客様の嫌なものは置かないし「ネットで見て気になる商品がある」と言われれば、仕入れて実際に触れてもらえるお店でありたいと思う。
沢田:ランドセルも、お客様から置いてほしいっていう声がありましたね。
加藤:その流れで「学習机も置いてほしい」っていうのもあったし「お見合いを頼みたい」って言われて驚いたり(笑)。「お雛様と一緒に写真を撮りたいから写真館を」っていうのもあったなぁ。すべては叶えられないけど、お客様がそうやっていろいろな声を届けてくれるのが嬉しいよね。
- 2021年よりランドセルの販売スタート
モノよりも「コト・トキ・ヒト」の山田屋へ
- スタッフの「得意」を活かした企画に、乞うご期待
沢田:店長の発案でインスタの個人アカウントを運用してますが、子育てママとのつながりが増えて、輪が広がっていくのも楽しいですよ。山田屋のファンクラブを作って、ママ同士でランチ会とかしてもらうのもいいですよね。
加藤:それもいいアイデアだし、ママ友だけではできないけど山田屋が一緒になればできるっていう、企業らしい提案もしていきたいな。
大山:うちのスタッフはそれぞれに得意なことがあるので、家族キャンプ、離乳食クッキング、写真撮影会とか、できそうなことがたくさんありますね。
山口:今も「はいはいレース」や「モデルコンテスト」をやってますが、モノを売るだけではなくて、コト・トキ・ヒトを活かした企画で、お客様とコミュニケーションをとっていきたいですね。
- 企業としてできることを考えたい
- スタッフの幸せがお客様の幸せに
加藤:今回みんなで話してみて、うちのスタッフは幸せだな~って思ったんだよね。売り手が幸せだから、お客様にも幸せになってもらえるのかなって。だから、お店も長く続てられるのかもしれない。お雛様を売るときって、お嫁に出すような気持ちになるよね。私はいつもそのお雛様に「お子さんの幸せとご家庭の円満を守ってね」って願ってる。こういう気持ちが、きっと150年続いて来たんだと思うし、この先もみんなで紡いでいきたいと思ってるよ。